SEO(Google検索)対策と、GEO(生成AI検索)対策は、どう違うのか?

「チタンを公差±0.01mm以内で切削加工できる、医療機器部品の実績がある会社を教えてください」

少し前まで、こうした発注条件はGoogleの検索窓では対応できませんでした。
発注担当者は「チタン 切削加工 医療機器」のようにキーワードへ分解し、表示されたリンクを一つずつ開いて、条件に合う会社かどうかを自分の目で確かめる必要がありました。

いまは違います。ChatGPTなどの生成AIに、発注条件を文章のまま相談できます。生成AIは複数の企業サイトを読み込み、条件に合致した会社だけを根拠URL付きで要約して返してきます。見込み顧客にとっての「会社探し」は、リンクの一覧を眺める作業から、AIが作った候補リストを受け取る作業へと変わりつつあります。

このとき、製造業のホームページに何が起きるのか。Google検索で上位に出ていたサイトが、生成AIの回答にもそのまま引用されるのか。FinMark Edgeは Claude Fable 5(米国時間6月12日に利用が停止される前) と実際の検索作業を通じて検証しました。





発注者の「探し方」が変わり始めている

従来、発注担当者はキーワードを組み合わせて検索し、ヒットしたリンクを一つずつ確認していました。生成AIの登場で、その流れは「条件を文章で投げかけ、AIがまとめた候補リストを受け取る」形へと移りつつあります。

問いはシンプルです。Google検索で上位に出ていたサイトは、生成AIの回答にもそのまま引用されるのか——FinMark Edgeは、これを実際の検索で検証しました。



検証のプロセス:15の発注シナリオを設定し、4類型に分け実証

検証にあたり、まず中小製造業への発注場面を想定した15パターンの検索シナリオを設定しました。各シナリオには、生成AIに入力する「プロンプト(自然文の依頼文)」と、Google検索に入力する「キーワード」を対で用意しています。

▼ 実際の15の発注シナリオはこちら(クリックで表示)
生成AI検索プロンプト × Google検索キーワード 検証15パターン

そのうえで、性格の異なる4類型のシナリオ(①チタン×公差±0.01×医療機器など、②ステンレス小ロット短納期など、③VA/VE提案など、④難削材の比較など)について、キーワード型とプロンプト型の両方で実際に検索を行い、表示・引用されるページを突き合わせました。精度条件型・取引条件型・提案力型・材質比較型という、発注動機の異なる4類型をカバーする形です。



検証で分かったこと:「選ばれるページ」の基準が違う

結果は明確でした。両者では、表に出てくるページの顔ぶれと、選ばれる理由が異なります。

Google検索(キーワード型)

タイトルやページの知名度に左右されます。上位には業界ポータルや比較・ランキングサイトが並び、個社ページはタイトルにキーワードが一致した場合のみ出現。表示されるのは「リンクの一覧」で、条件を満たすかはユーザーがクリックして判断します。

生成AI検索(プロンプト型)

AIが本文を読み込み、「公差±0.01」「医療機器の実績」「VA/VE提案が可能」などの条件に合致する記述が本文にあるページだけを抽出。会社名と根拠URLをセットにした「答え」として提示します。

つまり、タイトルの一致やサイトの権威性ではなく、本文中に条件へ一文で答えられる記述があるかが選定基準になるのです。

実際、4つの実証シナリオでは、加工実績ページに「医療機器部品・高精度(0.01以下)・チタン」と平文で書いていた会社、「VA・VE提案をしていただくことは可能ですか?」というFAQ見出しに「可能です」と直接回答していた会社、ISO認証や医療機器製造業許可番号まで本文に記載していた会社が、生成AIの回答に引用されました。逆に、立派な設備や実績を持っていても、それが画像やPDF、抽象的なキャッチコピーの中にしかないサイトは、AIの回答に現れませんでした。



引用されるサイトに共通していた5つの表記特徴

4シナリオの実証を通じて、生成AIに引用されたページには共通する特徴が確認できました。

1

数値が本文に書かれている

「高精度」「短納期」ではなく、「公差±0.01mm」「1個から」「最短2時間で見積回答」。AIは曖昧な形容詞では条件照合ができません。数値はHTMLの本文テキストにあることが前提で、画像化された加工事例やPDFカタログの中の数字は拾われていないようです。

2

材質記号・業界名がそのまま書かれている

発注者はプロンプトに「SUS316」「インコネル718」「医療機器」「半導体製造装置」と書きます。サイト側にも同じ語が本文・見出しに存在して初めて、AIは両者を結びつけられます。「各種ステンレスに対応」では、「SUS316」のようなニッチなプロンプトに答えたことになりません。

3

質問に答える構造になっている

「VA/VE提案は可能ですか?」という見出しに「可能です。工法変換も含めて提案します」と続くFAQ形式は、プロンプトの問いと構造がそのまま一致するため、引用率が際立って高い形式でした。発注者がAIに投げそうな質問を見出しにして答える——これで引用可能性は大きく変わります。

4

材質別・用途別の専用ページが分かれている

「チタン加工」「難削材加工」「VA/VE提案事例」のように、1テーマ=1ページで構成されたサイトが引用されていました。すべてをトップページに詰め込んだサイトは、個別の条件に対する「答えのページ」を持たないため、AIにとって引用しづらいのです。

5

信頼性の根拠が文章化されている

ISO認証、医療機器製造業許可番号、保有設備、年間の見積実績数。こうした検証可能な事実が本文にあると、AIは「根拠付きで推薦できる会社」として扱います。生成AIは出典を示しながら回答する設計上、根拠の書かれたページを優先的に引く傾向があるためです。



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結局、Google対策と何が違うのか

従来のSEOは、要約すれば「キーワードと権威性の競争」でした。検索ボリュームの大きい語を狙い、タイトルに入れ、被リンクを集める。中小製造業にとっては、ポータルサイトや大手と同じ土俵で戦う、分の悪い勝負でもありました。

一方、生成AIは検索ボリュームを気にしません。「アルミ 薄肉 歪み 抑える」のような月間数十回しか検索されないニッチな条件でも、発注者がプロンプトに書き、自社サイトの本文にその答えが書いてあれば、引用されます。ニッチで具体的な強みこそが武器になる——これは、対応素材・加工精度・業界特化の知見といった「具体的な条件の中にこそ強みが宿る」中小製造業にとって、むしろ追い風になると言えるのではないでしょうか。

ただし、その強みが、AIが読める形——平文・数値・固有名詞・質問応答型——で書かれていること。「職人の腕」は、Web上に書かれていなければ、AIにとっては存在しないのと同じです。



まとめ:まず「自社がAIにどう読まれているか」を知る

手始めにできることは簡単です。ChatGPTやGeminiに、自社の顧客が入力しそうな条件を文章で投げてみてください。「〇〇(自社の得意材質)を△△の精度で加工でき、□□業界の実績がある会社は?」——その回答に自社が出てくるか。出てこないなら、競合のどのページが、どんな記述を根拠に引用されているか。そこに、自社サイトが直すべき箇所のほとんどが表れています。

生成AI検索の時代、製造業のホームページは「見つけてもらう」ものから「AIに引用してもらう」ものへと役割を変えつつあります。技術力に見合った言葉をサイトに持つこと。それが、新しい時代に候補へ残るための、最初の条件です。